飛翔

日々の随想です

初詣

難を転じる年となす

 

「初詣」
除夜の鐘と同時に家を出て氏神様に初詣するのが毎年の習い。
 かがり火をたいた境内には
年男たちが「お振る舞い」のテントの中で
 年越しそば、お神酒、甘酒を振舞う。
 ヒノキの香り豊かな、升(ます)に注がれたお神酒をいただいていると、
かがり火の中に懐かしい顔がちらほらと見え始める.
毎年、初詣の境内でかつての教え子たちと再会する。
中学生だった彼らもいい年のおばさん、おじさんになっている。
 「先生!うちの子です」と子供の頭を下げさせるのは、
塾の帰りに家出してしまったA子。
深夜の街を親御さんと一緒に探し回った子だ。
みんなふるさとに残って真面目に生活しているのが嬉しい。
東京から嫁に来た私は
慣れない田舎暮らしが寂しくて泣いたものだけれど、
塾の子供たちがいるこの街が、
今では私のふるさとだ。
 ふるさとに帰れない東北の人たちや、
ふるさとが今や戦火の中という国のひとたちを想う。
 戦いのない、放射能に怯えない平らな世の中を願う初詣となった。