アカデミー賞の授賞式の様子をテレビで見ていると、司会者の当意即妙な話術にさすがだとうなってしまう。
スピーチのうまさも格別な味がある。
スピーチのお手本のよう。
必ずウイットに富んだ言葉を入れて会場を沸かす。
時の政権に一矢報いるような言葉でハリウッドの矜持を示す。
今回はトランプ大統領の移民政策に対して、メキシコ国境に壁を作ることに対してこんな発言をして会場が拍手の渦になった。
Gael García Bernal spoke against Trump’s wall.
“I’m against any form of wall that wants to separate us,” he said.
私たちを分断するようないかなる壁にも反対する!
日本ではこんな発言をしたら、政治的だと言われて映画に出られなくなりそうだ。
そういう意味でも、日本は概して政治的なことを発言することは嫌われる。
左上から時計回りに主演男優賞のケイシ―・アフレック、主演女優賞のエマ・ストーン、助演女優賞のヴィオラ・デイビス、助演男優賞のマハーシャラ・アリ
才能がある人たちの中でも選り抜かれた人の努力や苦労が報われるまでの軌跡は大変なものだろう。
一つのことをやり遂げ、それに対する評価の輝かしさ。
それがオスカー像だ。
華やかなハリウッドで、蹴落としたり、這い上がってきたり、人間模様も、それこそ映画になりそうなほどあるに違いない。
私たちはそんなことはつゆ知らず、娯楽として映画を楽しむ。
映画は総合芸術だ。
音楽、映像、脚本、俳優、衣装、歴史的考証、監督。
その総合したものが映画の魅力となって私たちを楽しませてくれる。
現実の生活は過酷でも、映画館に行けば、そこには夢の世界が広がっている。
つかのまでも、楽しい世界がそこにはある。
感動があり、笑いがあり、心に刻まれるものがある。
一日の終わりに、カウチポテトするのが私の楽しみだ。
ワインを片手に、録画しておいたビデオを見る。
映画館に行く暇がないときの最大の娯楽だ。
女優さんたちのあでやかなドレスと、ここぞとばかりに美しさを際立たせる映画の祭典を楽しんだ。
第89回アカデミー賞受賞結果は以下の通り。
作品賞:<<「ムーンライト」>>
監督賞:デイミアン・チャゼル「ラ・ラ・ランド」
主演男優賞:ケイシー・アフレック「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
主演女優賞:エマ・ストーン「ラ・ラ・ランド」
助演男優賞:マハーシャラ・アリ「ムーンライト」
助演女優賞:ビオラ・デイビス「Fences」
脚本賞:ケネス・ロナーガン「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
脚色賞:バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー「ムーンライト」
視覚効果賞:「ジャングル・ブック」
美術賞:「ラ・ラ・ランド」
撮影賞:リヌス・サンドグレン「ラ・ラ・ランド」
衣装デザイン賞:「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
長編ドキュメンタリー賞:「O.J.:メイド・イン・アメリカ(原題)」
短編ドキュメンタリー賞:「ホワイト・ヘルメット シリア民間防衛隊」
編集賞:「ハクソー・リッジ」
外国語映画賞:「セールスマン」(イラン)
音響編集賞:「メッセージ」
録音賞:「ハクソー・リッジ」
メイクアップ&ヘアスタイリング賞:「スーサイド・スクワッド」
作曲賞:ジャスティン・ハーウィッツ「ラ・ラ・ランド」
主題歌賞:“City of Stars”「ラ・ラ・ランド」
長編アニメーション賞:「ズートピア」
短編アニメーション賞:「ひな鳥の冒険」
短編実写映画賞:「合唱」