飛翔

日々の随想です

3,11に思う


3年前の3月11日はフランスにいた。イタリア、フランスと旅をして最後のパリの宿についたのは11日だった。その日の天気と気温を知るためにテレビをつけた。フランス語放送のお天気予報を見て、次に英語によるCNNにチャンネルを切り替えた。するとどうだろう!!!巨大な地震が日本を襲った!という見出しとともに、濁流に押し流される車や家が画面いっぱいに次々と映しだされていく!!
 津波は世界共通語となって画面に「Tsunami]と出た。
 CNNニュースはほかのニュース(カダフィーの動き)はそっちのけで、終日日本の津波地震の放送を流していた。イタリアではNHKの英語放送が流れていたが、パリではCNNが唯一のニュースソースである。
 これが果たして現実なのだろうかと疑いたくなるほどの光景が次々とライブ放送でながれていく。
 避難する子供たちの何人かが「おかあさ〜ん!怖いよ〜」と叫んでいる日本語が流れてきた。
 東京に駐在するCNNの特派員が自宅で地震にあったようすをビデオで写している。CNNの記者であることを忘れるほどのおびえた声で「Oh,my God!]ばかり叫んでいる。ガタガタと揺れる音がすさまじく、自転車が倒れ、かわらがばらばらと落ちていく。記者が突然「なんてこった!、家の柱が倒れる!」と叫ぶと画面が揺れて乱れた。
 CNNの本部からは津波が押し寄せてくる様子を自衛隊が写した上空からの映像を流しだした。それは強大な波が日本に向けて帯のようになってものすごい速さで押し寄せてくるのが見えた。
 高速道路の下を車が流されていき、小型の漁船が流され、マストが波の下に沈んでいくのが見えた。そして家が濁流のなかを流されていく。
 恐ろしい光景がCNNによってライブ放送となって次々と映し出されていった。
 パリで出会った日本人にニュースを知らせると真っ青になって「東京はどうですか?九州は?神奈川は?」とそれぞれの郷里を心配する声があがった。
 カフェオレを外に出されたテーブルで飲みながら、パリジャンが新聞を読んでいた。みんな日本の津波の惨状に驚きの色を隠さない。
 リュックをしょった日本の若者が成田の飛行場は大丈夫だろうか?とたずねてきた。
  日本行きのフィンランド航空の中では日本語の新聞を奪い合うようにみんなとり、口々に地震のものすごさを口にしていた。

 
  地震列島の日本で54基もの原子力発電所があるなんていうのがおかしいほどである。そして今、最も案じられるのは、その放射性廃棄物の処理である。どんどん積もっていく放射性廃棄物の捨て場がない。「トイレのないマンション」と言われるゆえんである。
 六ヶ所村にあるだけ。しかも、そこが地震にあったら、54基の原発と集まった放射性廃棄物が一気にこぼれだすか、爆発する。
 日本列島沈没。そして地球規模の汚染である。
 原発安全神話のもと、今、次々と安全対策の不備が指摘され暴露されるようになった。
 原発の特需で潤う地域では、麻薬のように、原発がなければ生きていけないような状態に中毒症状をきたしている。
 雇用と過疎の対策のため、悪魔に魂を売ってしまった。本来なら国が過疎や雇用促進に光を当てて、対策をこうじるべきところを原発にゆだねたところが悪魔の目の付け所である。
 天変地異は神のしわざとしか言いようがない災害である。人は科学の力で神をも征服できるとおもいあがった。
 それが今回の原発事故である。地震津波を甘く見、軽く見て対策を怠ってしまった。
 歴史とは過去の出来事を検証しそこから学んでいくものであるが、その過去の出来事から警鐘を鳴らした者を無視し排除したのが今の御用学者であり、政府であり、電力会社である。そうしたものたちがほおかぶりをして、なりを潜め、なかった顔をしている。
  自然の脅威をあなどってはならない。自然災害に対してどうすればよいかを今一度検証し、新しい対策法をみいだしてほしいものだ。写真は我が家のコーヒーフィルターで作ったランプシェードです。
  このランプを灯して亡くなった被災者のご冥福と復興を祈りたいです。合掌。