高校・大学を通して同じ学び舎だったS子とはいまだにメールで切磋琢磨しあっている。一人でこつこつ勉強しているとくじけそうになるが、友もがんばっていると思うと励みになる。
大学に入るとき、父がこういった
「本を読め。生涯の友をつくれ」と。
生活に追われる主婦の座にあっても、昨今の本を読みあい、文章論を問い、夢を追いかける友がいることが嬉しい。
たとえ百歳になっても、おしゃれをし、颯爽とヒールの靴音を鳴らして歩く女性でありたい。
英国にいたとき、英文学の老先生のお宅に伺った。先生は銀の食器で食事をたのしんでいらしゃった。誰も見ていない独り身の食事でも、銀の食器でゆったりと優雅なひと時を過ごす姿がとても素敵だった。
向田邦子のエッセイに、一人の食卓にも箸置きを使うとあった。
独身の怠惰な生活をいましめ、日常にも美しいしつらいをしてこそ内面の美が備わるのだと思う。
お互い切磋琢磨できる友人の存在はわたしを怠惰から救ってくれる箸置きであり、銀の食器である。