飛翔

日々の随想です

涼しさや袂(たもと)にあまる貝のから

 デパートにいくと素敵な浴衣が展示してある。
 浴衣を着て蛍狩りなんて風情がありますね。 
 着物を着る機会は少ないが、浴衣なら気軽に着れる。
 若い女性も、もとお嬢様も、髪をきりりとまとめて、浴衣なんぞを着るとハッとするほど見違える。
 男性も浴衣姿に角帯を絞めるといなせないい男に見えるから不思議だ。
 
 江戸時代の古句にこんなのがある。

  涼しさや袂(たもと)にあまる貝のから (一琴)
  
 海へ行って貝殻を海の思い出に持って帰るところだろうか。江戸時代だから浴衣のたもとに貝殻を入れてご帰還の途中。たもとの貝殻がすれて鳴る音が涼しい。袂にあまるほど貝をいれたのだろう。なんだか嬉しくて弾むような気持ちが聞こえてきそうだ。ここちよい海の風がたもとを揺らせて涼やかだ。