飛翔

日々の随想です

心を温める詩と幼児期の束縛


こんな詩があなたを抱きしめてくれることを願って:

見知らぬ子へ
                 辻征夫

  何だかとてもおこりながら
 すたすた歩いて行くおかあさんのうしろから
 中学に入ったばかりかな? 女の子が
 重い鞄をぶらさげて
 泣きながらついて行く

 ときどき振り向いて
 いいかげんにしなさいと
 おかあさんは叱るけれど
 悲しみは泣いても泣いても減らないから

 やっぱり泣きながらついて行く

 あんなにおおきな悲しみが
 あんなにちいさな女の子に
 あってもよいのだろうかと
 とあるビルからふらりと出てきた
 男の人がかんがえている

 そのひとはね ちいさいときに
 とても厳しいおかあさんがいて
 男の子は泣くものではありません!て
 あまりたびたび叱られたものだから
 いつも黙っている 怖い顔のひとになっちゃたんだ

 そのひとは(怖い顔のままで)
 きみのうしろ姿を見ていた
 それから
 黙ってきみに呼びかけた
 振り向いて ぼくをみてごらん!

 涙でいっぱいの まっ赤な眼で
 もちろんきみは振り向いて
 黒々と立っている 見知らぬひとを見たのだけれど
 そのひとが 黙ったまま
 こう言ったのは通じただろうか

 もうだいじょうぶだよ
 なぜだかぼくにもわからないけれど
 きみはだいじょうぶだとぼくは思うんだ
 でも泣きたいときにはたくさん泣くといい
 涙がたりなかったらお水を飲んで

 泣きやむまで 泣くといい
(『一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある』水内喜久雄・編 PHP)より

 ※人は幼いとき両親や保護者とのやりとりから体験した「禁止令」(〜するな)や「許可」(〜してよい)というメッセージを受け取っています。個人はその内容をもとに、「自分はこういう存在だ。自分の人生はこんなふうに生きていこう」という決断(幼児決断)をすると考えられます。この幼児決断がその後の人生脚本の筋書きを決める元となるのです。
 その幼児決断の人生脚本でがんじがらめになった束縛から抜け出して、元のあるがまま(自我状態)に戻って再度決断をやり直して、人生脚本をかきかえていくという療法が「再決断療法」というものです。

 上に掲げた素敵な詩の中の:
 ちいさいときに
 とても厳しいおかあさんがいて
 男の子は泣くものではありません!て
 あまりたびたび叱られたものだから
 いつも黙っている 怖い顔のひとになっちゃたんだ

がわかりやすいですね。

 素敵な詩に余計なことは無粋だとおもいますが、

 もうだいじょうぶだよ
 なぜだかぼくにもわからないけれど
 きみはだいじょうぶだとぼくは思うんだ
 でも泣きたいときにはたくさん泣くといい
 涙がたりなかったらお水を飲んで

 泣きやむまで 泣くといい

 ※これを読むとほっとしますね。
 あなたがもしこんなふうに「がんじがらめになった束縛」から抜け出したいとき、カウンセラーのドアをノックしてみてください。あなたの心にとことん寄り添っていきますからね。
 (「心の灯(ともしび)」カウンセリングルーム)