人や文の評じかたにはその人の知性や思慮の深さ、浅さ、品格というものが見えてくる。
一億総評論家。
人や文や政治、経済、書物に対して誰もが評論家たりえるけれど、その評じかたで墓穴をほりかねない。
「人をのろわば穴二つ」ということわざがあるけれど、得々として評した己の文に己の品格や知性のありかが如実に現れていることをしらなければならない。
喧嘩しているもの同士、あるいは悪口を言っているものの顔をみてみると、決して美しいとは言えないものである。
人をののしるときの顔はまことにとげとげと憎しみに満ちて醜い。
文もしかり。
決してさとすというような高みには立たず、懐の深さをうかがわせるような言葉は,含蓄があって的をえているだけに鋭い刃物よりも効き目がある。
そうした文章を読むと己の浅はかさに身が縮む。