ものすごく素敵な音楽に巡り合った。
「グレース・マーヤ」というジャズシンガーの曲だ。ザ・ルック・オブ・ラヴ 河野啓三,越田太郎丸,須藤満,小沼ようすけ,坂東慧,宮崎隆睦,仙道さおり ヴィレッジ・レコード
まず甘い声と素晴らしい英語に驚かされる。日本人がどんなにリズム感良く歌っても、下手なとってつけたような英語のジャズは聞けたものではない。しかし、彼女の発音の良さはネイティヴ並みで、すらりときかせてくれる。それもそのはず、彼女は幼いころからアメリカン・スクールに通っていたとのこと。
弾き語りのピアノのつぶ立ちの良さは群をぬいて聴かせてくれる。驚くべきピアノタッチ。
甘い声と、ジャジーなリズム、情感たっぷりに歌いこむかと思うと、このアルバムに入っている「sixteen Tons]のように軽快で泥臭い歌を若いタッチで歌ってみせてくれる。
「My Favorite Things]では英語の歌詞の愛らしいまでに美しい曲を感性全開して歌いこなして惹きこまれる。
「The Boulevard Of Broken Dreams]は甘い声に弾むリズム感にすっかりスイングさせられた。
「オルフェの唄」では堪能なフランス語で度肝を抜かされ、最後は甘美な世界に引きずり込まれてしまった。
まったく驚くべき歌姫が出現したものだ。若く甘い声に、セクシーなハスキーが混ざってスタンダードからポップスの名曲まで幅広い歌唱力に圧倒されたファーストアルバムだった。
粒だった素晴らしいピアノは、これだけでも聴きごたえがある。それもそのはず、トップの成績で留学したドイツ、フライブルク国立音楽大学を卒業。大学院まで進んだクラシックのピアニストとしても折り紙つきの腕前である。
一日に何回も聞きこんでしまうこのアルバムをぜひ皆様もお聴きくださいますよう。