飛翔

日々の随想です

白露


めっきり涼しくなったと喜んでいたら、今日は夏に逆戻り。
  昨日は中秋の名月。白露というのがある。白露とは 白露とは二十四節気の1つ。
 秋の気配が濃くなり野草に白露が宿る頃。
(今年は9月8日から秋分の頃まで)
つまりちょうど今頃の時期。
このわびしくはかなげな秋の夜を苦しく切なく詠った句がある。

 露の中万想(ばんそう)うごく子の寝息(加藤楸邨
穂高病む)の前書きがある。

 露がおりる秋も深くなりつつある夜、病んでいる子どもを看病する作者。
 白露がおりる秋の夜は美しくもわびしい。
 わびしくもはかなげな露をおもうとき、今病んで寝ているこどもの寝息をうかがいその生死を不安に思う気持ちが重なる。
「万相うごく」にそれは一気に凝縮される。
苦しげな子どもの寝息の中、一切の秋の万相は動いているのだ。
一刻一刻を不安にすごす親と子の枕辺に美しいまでに光る白露の秋が暮れていく。

露ははかなく無常なものをおもわせる、せつないばかりの余情がただよう句である。