飛翔

日々の随想です

福島原発事故被災者にお盆は来るのか?

ここのところ、急に暑さが増してきた。なんといっても八月だからね。来週はもうお盆。帰省しようとお土産を買って故郷に思いをはせている人も多いことだろう。
 帰るふるさとがない私はさびしい。ふるさとはあっても、もう待ってくれる人がいない。
 ふるさとにはもう母はいない。父はいない。すっかり様変わりしてしまったふるさとを、ふるさととよべるだろうか。
 そう思ってはっとした。震災にあった人たちのふるさとは放射能にまみれて帰れない人が多いのだ。仮設住宅にも入れないひとたちは、自宅も、土地も、命も失ってしまった。
 しかし、みんな自分の家に帰りたい、自分の祖先からの土地に帰りたいのだ。
 原子力発電の平和利用を宣伝したのはアメリカの政策だったとのこと。原爆を落とされた日本が自ら原子力発電を平和利用することを是とするなら、それは願ってもないアメリカである。原爆の被害状況のデーターを何十年と隠し、それを核実験の材料としてきたことが最近明らかになった。、原爆を落とされた後、被爆した土地に救助に行ったり、治療に赴いた人たちが二次被爆をし、内部被ばくをした。その補償をデーターを隠ぺいしたアメリカのため、原爆補償を受けられずに亡くなった人たちが大勢いる。
 原子力発電所から出る、放射性廃棄物の処理方法はまだ未知数である。それなのに廃棄場も少ない中、どんどん日本国内に原発を作って、安全、安価と謳ってきたのは政府と独占企業である電力会社である。
 人間と原子核とは共存できないものである。一度核分裂したら誰も止められない。放射性廃棄物を地下の奥深くに捨てても何十万年と放射能は出続けている。
 お盆が来ても、自宅にも帰れず、先祖の土地が放射能にまみれ、家畜が被害を受け、海が汚染され、未来を担う子供たちが内部被ばくの脅威にさらされているのだ。
 今に、ふるさとである地球が放射能に汚染され、宇宙のかなたからふるさとを思う日が来ないとも限らない。
 世界で唯一原爆投下されたわが国から、原発事故を起こし、地球を汚染しているこの現実をしっかり見つめないとご先祖様にこのお盆に申し開きができない。
 この恐ろしい現実を知りながらも、「やらせ」メールで九州電力原発稼働をさせようとし、地震が87パーセントの確率でやってくると知りながら、地震の巣の上の浜岡原子力発電所では再稼働する日を待ちわびている人がいる。
 ふるさとにもどれないひとたち。ふるさとが放射能で汚染されている人たち。そのひとたちのお盆はいったいどんなものになるのだろうか?