飛翔

日々の随想です

本を読む人


人を見かけで判断してはいけない。そう思っているが風貌の好みは自分でもいかんともしがたい。最近あるところである男性と話す機会があった。風貌はまじめそうで律儀な感じがする人であるが、それ以上でもそれ以下の感情も湧かない人である。しかし、日を追うごとにこの人の考えていることや好みに興味がわいてきた。この人、文を書くのが苦手といいながら、書いたものを読むと達意な文を書く人であることがわかった。それだけならそれ以上の興味が湧かないのであるが、この人古本屋巡りが好きで、本の山に囲まれて暮らしていると聞いて驚いた。おまけにその本が家に入りきらずに庭に本の為のプレハブ小屋を4棟も建てたと聞いてこれは只者じゃないとおもいはじめた。
 そう思ってこの人物を眺めると今まで気付かなかった美点が次々と見えてきたから不思議だ。先ず仲間とつるんで行動することをしないという点が私と共通していて好もしかった。さらに犬好き。ユーモアの持ち主であること。ひがんだ根性がなく、まっすぐな気性がいい。とずいぶん私も好意的にこの人を見ていることがわかる。
 この人のことがわかると同時に自分のこともわかった。
 つまり私という人間は本好きに好意的であることだ。
 この先まだ人間観察が続きそうだが、同時に自分観察にもなりそうだ。
 電車に乗っていて本を読んでいる人を見ると私はその人をつい観察してしまう。どんな本を読んでいるのだろうかときにかかり、読んでいる姿をつくづくと見てしまう。林哲夫さんが「本を読む人」というスケッチ画を描いているが私はそれをみるのが大好きだ。
林哲夫さんの品のある文も好きだがやはり絵が素晴らしい。
 夫が私に言った言葉の中で最も好きな言葉がある。
 それは「そうやって本を読んでいる姿は見惚れてしまうほどいいなあ」と言う言葉だ。
 をいをい!おのろけかい?といわれそうだが、のろけではない。
 私も本を読んでいる人の姿をみると見惚れてしまうからだ。
今度の週末、夫と林哲夫さんの「本を読む人」の個展を見に行く予定だ。