飛翔

日々の随想です

変ロ長調「遺失」


 今日は横殴りの激しい雨が降る小寒い一日だった。 
 「消えてしまったもの」「消えてしまった言葉」についてぼんやりと思いをめぐらせて時が過ぎて行った。
 消えてしまった私の熱情の焔。消えてしまったあの人との恋。消えてしまった私の青春・・・。「好き」と言えないまま右と左に別れていった何年も前の今日と言う日。
 やるせない春の雨に全身濡れたまま、バス停から家まで歩いたあの日。セーラー服のスカートから雨のしずくがぽたぽたと重たく落ちていった。


 「もしもし?遺失物係りですか?大切なものを落としてしまったのですがそこにありませんか?」