飛翔

日々の随想です

レモンと檸檬


ミニョン ゲーテ

   「君よ知るや南の国」 森鴎外

レモンの木は花咲きくらき林の中に 
こがね色したる柑子(こうじ)は枝もたわわに実り
青き晴れたる空よりしづやかに風吹き
ミルテの木はしづかにラウレルの木は高く
雲にそびえて立てる国や 彼方へ
君とともにゆかまし


 
原詩: Mignon Johann Wolfgang von Goethe

Kennst du das Land, wo die Zitronen blühn,
Im dunkeln Laub die Goldorangen glühn,
Ein sanfter Wind vom blauen Himmeln weht,
Die Myrte still und hoch der Lorbeer steht,
Kennst du es wohl?
Dahin! Dahin
Möcht' ich mit dir, o mein Geliebter, ziehn!


※歌劇「ミニヨン」の中では「君よ知るや南の国」というアリアとして歌われてよく知られている。
この詩は「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」(1795-96)の第3巻冒頭に出て来る。「ミニョン」はイタリアからさらわれてきて、ドイツの旅芸人の一座で歌い踊っている少女の名。
また檸檬といえば、梶井基次郎を思い出す。
「レモン」と書くよりも「檸檬」とするほうが印象的なのは
どうしたことだろうか?

どれ!
私も檸檬を一つかじってみようか
おや?
一つ詩ができたぞ。

檸檬
この黄色い爆弾よ
大鉈をふるわれ
炸裂する瞬間
すっぱい滴の雨が降る

君の唇に
その滴を受けるとき
脳髄を黄色い閃光が
つらぬく

夏の陽に
身を焦がした
樹液はやがて
黄色い爆弾となる