庭のハナミズキや、ブルーベリーの葉が紅く染まって美しい。
錦を誇る中、ま緑の葉からすっくりと立ち上がるように茎をのばして黄色の花を咲かせるのはツワブキである。
自然の妙とはこんな色合いを言うのかもしれない。
美しい紅葉も、やがて木枯らしの中、散ってしまう。
春は満開の桜を愛で、秋には紅葉狩りに出かける。
やがて桜は花吹雪となって舞い散り、人は暖かな季節のたよりに心を浮き立たせる。
春は花が散って浮遊感と一抹の寂しさを味わう。秋は「散る」ことへの寂寥感が強い。
眼もあやな錦が散りはてて、黒々とした枝や幹の骨格があらわになるのは、痛ましさが募る。
四季があるがゆえに、日本人の美意識や感性は磨かれるのだろう。
その美意識は料理の器や、もてなしの心にも反映される。
懐石料理では「吹き寄せ」と呼ばれるものが添えられる。
松葉や黄色く色付いたイチョウの葉を模した前菜がそれだ。
今日は奮発して松茸料理にしようと思う。