明治時代に活躍し、夏目漱石と親交があり谷崎潤一郎に影響を与えた、
小説家小栗風葉の生誕140年を記念した座談会に出席した。
「夏目漱石の癇癪(かんしゃく)・風葉の酒」をテーマに文芸評論家の北村隆志、作家の小中陽太郎・安諸靖子さんが語る会。
半田市生まれの哲学者 梅原猛さんをお招きしたけれど、90歳を超えるお年ゆえ欠席。
作家小中陽太郎さんは妻が小栗風葉の5人目の息子の娘だそうで、半田市にいわれのある人たちを囲んでの座談会となった。
この梅原猛に新作能・狂言を依頼し演能した能楽笛方宗家・藤田六郎兵衛さんの笛の演奏があった。
まず座談会の内容がよく、特に漱石研究家の安諸さんの研究内容に目をみはらされた。
それは漱石の「こころ」「行人」が小栗風葉の作品によく似ていること。「こころ」に出てくるKさんが実は小栗風葉をモデルにした
ものだという新発見を披露して驚いた。
最後に 能楽笛方藤田流十一世宗家 重要無形文化財(能楽)総合指定保持者 藤田六郎兵衛(ふじたろくろびょうえ)さんの
世阿弥の話、能楽の話、梅原猛さんの話、笛の話が面白く、また室町時代からの宗家代々に伝わる400年以上経った笛の
演奏に鳥肌が立った。
2時から5時までの時間を半田市の由緒ある料亭内で行われ、中身ともども充実した時間が過ぎていった。
小さな地方都市で行われた座談会だけれど、文学を愛する人がこんなにもいるのかと感動した。
明治の文豪について地道に研究している人が各地に散らばっていて、こうした座談家にも駆けつけるその熱意にも打たれる。
私も郷土の文豪・小栗風葉についてさらに研究したいと思った一日となった。