四月は新入学、入社式など晴がましい門出の月だ。
門出といえば新郎新婦の結婚式が思い浮かぶ。
イギリス留学時代の友人の結婚式に呼ばれたことがある。
新婦はイタリア人の友人マリアである。結婚式場のイタリアまではるばる祝いに駆けつけることになった。
まずはイギリス人の友人の車に便乗し、ドーバー海峡を越え、ヨーロッパ中に散らばっているクラスメイトたちの家を泊まり歩きながら、フランス、スイス、ドイツをまわり、イタリアへ行くという楽しいヨーロッパ一周、車の旅となった。
結婚式場はイタリアの古都、サンセポルクロ(Sansepolcro) である。サンセポルクロは、トスカーナのはるか東、アレッツォの東にある町。アペニン山脈の麓にある小さな、平らな、城壁の町である。
マリアはイギリス留学を終え、故郷のイタリアで教師をしている。ペネロペ・クルスを思わせる絶世の美女である。相手はIT関連の技師。180?の長身の美男。式はサンタ・マリア・デイ・セルヴィ教会でおごそかに行われた。
披露宴会場は町から離れた古い城で、夜通し行われた。月明かりの中、食べて踊り歌う披露宴はまさにイタリア式。イタリアの古い城でおこなわれた披露宴は生涯忘れえぬものとなった。
この広い世界の中にあって、縁あって一人の女と男が結ばれる。二人っきりの結婚式でも、豪華な結婚式でも、愛する者同士の門出ほど素晴らしいものはない。
春のブライダルシーズンを目の前にして来し方のさまざまな結婚式を思い出し、縁あることの素晴らしさを思う。
結婚に限らず、どんなことでも、原点にたちかえって、心をまっすぐにするならば、それはいつだって新たなる門出となる。