飛翔

日々の随想です

“Autumn in New York"

お風呂から出て寝るまえのひととき小曽根真のアルバム「Walk Alone」から
“Big Apple Pieと“Autumn in New York"を聴く。

ウォーク・アローン
小曽根真
ビクターエンタテインメント


そう。もうNYも秋。小曽根真の奏でるピアノからNYの秋がはじまる。

2005年の秋、NYのカーネギーホールで演奏した。
 EXPO 2005 AICHI GLOBAL HARMONY CONCERTがカーネギーホールで行われ、「第九」を演奏したことが生涯の記念となった。
 父と母の遺影をもってのことだった。
 コンサートのフィナーレに「ふるさと」を歌ったら、聴衆の中の多くの人が涙をぬぐう姿があった。アメリカにいて、遠い日本のふるさとを懐かしむのであろうか。「ふるさと」は一気に人との距離を縮めてくれる。

父親が国の代表としてアメリカで仕事を長くしていたことがあった。シアトル市長と握手している写真が英字新聞を飾った。
母は喜んでその英字新聞を買い占めるぐらい大量に買い込んだ。
最初はうやうやしく読んでいたその新聞も年月がたつ内にありがたみも新鮮味もなくなっていつのまにか、押入や畳の下に敷いて湿気取りに使用するまでに成り下がってしまった。
晦日に畳を虫干しするときに、敷いてあった畳の下から出てきた昔の英字新聞を懐かしんでほこりをよけながら読むのだった。
 そんな父が亡くなって遺言のようなものが出てきた。それには自分がしてきたように、娘3人の中で誰でも良いから外国と日本との架け橋になるような仕事あるいはそのような類のことをしてほしいという旨の言葉が綴られていた。
8年前、架け橋とまではいかないけれど、音楽を介してわずかばかりの日本紹介ができたのは嬉しかった。
 秋への入り口にさしかかり、ひとりものを想うのだった。