親しくしていたAにトラブルが起きて、その一部始終を見聞きしていた私はただひたすら怒りトラブルの元になったBの所業に怒り、トラブルに関わったAとCを応援した。
トラブルに巻き込まれた知人Aは自分の名誉を回復したらけろりとして同じ被害者のCを見殺しにした上で、何事もなかったように、またトラブルの元となったBとの関係を修復した。
怒り心頭してトラブルの張本人Bを糾弾し続けていた私は取り残された。踏みつけにされたCもそのまま。
怒りのほこをおさめられない私はくすぶり続ける火種をかかえたまま。
こんなことは世間にはよくあることらしい。
世間知らずの馬鹿な私は大真面目で怒り、応援して、裏で何が起きていたかも知らされずじまいでほぞを噛む。
「直球勝負」と云う人が実は裏工作が好きだったりする。
「そんなことは世間には良くあることさ」としたり顔をしたり、納得できないのが私。
本当に馬鹿でまぬけな私だと思う。
私は関わりあいになって一人で怒っている間に当の本人同士(AとB)はすっかり何事もなかったようになって狐と狸になって仲直りしている。
何が一番嫌いって「長いものに巻かれろ」という言葉ほど嫌いなものはない。
長いものにまかれるくらいなら、
「江戸っ子だ!さっさと叩ききっておくんな!」と啖呵の一つも切ってやりたいくらいだ。
こんなところで言ってもはじまらない繰言だ。
結局は係わり合いになって応援したり、怒ったりした私は大馬鹿ものになった。踏みつけにされたCはと言えばこれまた大人としての対面を保って何事もなかったように振舞っている。
馬鹿のオリンピックがあったら私は堂々の金メダルだ。
以来、私はそうしたトラブルには関わらないことにした。裏取引や裏コミュニケーションもごめんこうむる。
先日の高校野球を見ていてこうした胸のつかえが晴れた。
最後の投球に投手も打者もまっすぐ立ち向かう姿。
からぶり三振。
見送り三振よりもどれだけ悔いがのこらないことか。
悔しさに涙したって、誰にも恥ずかしくない三振だ。
まっすぐ投げて、力の限り振ったバットだもの、素晴らしいよ!
負けたって君は自分に負けたのじゃない。
堂々の勝負だ。
胸にすがすがしさがいつまでも残った。
私も君のように力の限りバットを振ってみるよ。
もう誰のせいにもしない、勝ちも負けもない。
まっすぐどーんとこい!
※(写真はスペイン、バルセロナにて撮影。アントニオ・ガウデイの作品)燃えよ!ドラゴン!