飛翔

日々の随想です

野原でお茶しよう


私が今一番ほしいものは昔のお姫様や大名が使っていた野点(のだて)の道具。
つまり昔の人がピクニック用に作ったコンパクトなお茶とお弁当の道具。
いつだったかピクニックに出かけたとき、若いカップルが野点用の茶道具でお茶を点(た)てていた姿に感動したことがあった。
そう。お茶は茶室でなくとも日常の風景の中にあるのであ〜る。
ピクニックに野点用のお茶道具を持って新鮮な空気の中、お茶を点てることの何と素晴らしいことか。
それ以来、私も小さな小袋を縫ってその中にお点前の道具一式はいるものを作ってみた。
茶筅茶杓、お茶碗、なつめ、茶巾、あとはポットのお湯がありさえすれば、おいしいお茶が点てられる。
何もしかつめらしく畳に座らなくとも、こんなお茶を楽しめるのだから素敵なこと極まりない。
しか〜〜〜し!
骨董屋さんで,とびきり素敵なお姫様の野点セットを見てしまってからはそれが欲しくてならなくなった。
細工の雅(みやび)なもので、四角い箱にはお弁当やおかず入れが入っていて、銀でできた1合とっくりまでおさまる。漆に蒔絵がほどこされ、いずこの姫君がお使いになったのだろうか?
夢は枯れ野ならぬ江戸の野山をかけめぐるのである。

あ〜、そんな麗しいお道具を持ってピクニックにでかけたいものだ。でかけなくても終日眺めていても楽しいではなかろうか。
そう言えば、小学校の時、遠足が待ち遠しくて帽子をかぶったままねたことがあった。
待ちどおしいあまり、熱がでて行かれれないなんて不幸がよくあった。
扁桃腺を腫らしたままうらめしく枕元にあるリュックのお菓子を食べたものだ。

高原へでかけて野鳥のさえづりを聞きながらのどかにお茶なんぞを点てて見たいものだ。
え?年寄りくさいって?
年をとったら若くなるの知らないの?
だって年を取る(引く)んでしょ?