江戸っ子の私は蕎麦が大好きだ。
蕎麦と云うとどどいつにこんなのがある:
・信州信濃の新蕎麦よりもわたしゃあなたの傍がいい
江戸っ子の父は日曜日のお昼は必ず「蕎麦食おう!」と号令!落語家ではないが蕎麦をたれにつけるかつけないかわからないうちにつるつるとすする。これが江戸っ子のそばの食べ方だと粋がってみせたものだ。
私がたれにどっぷりとそばをつけるとカンカンに怒った。江戸っ子の名がすたれると。しかもそばを噛むとは何事か!とも言う。そばは喉で食べるのだと!
「そばがき」も好きでよくそば粉で「そばがき」を作って食べた。
私もこれが好物でそばよりもすきなくらいだ。
のどごしがつるりとしていて、蕎麦の香りがぷんと香る瞬間はなんともいえなくよい。
小林一茶の句に
信濃では月と仏とおらがそば
が有名であるが、実はこの句は一茶の句帖には見当たらないのである。
一茶の句では:
・痩山(やせやま)にぱっと咲けりそばの花(『文化句帖』)
がある。
わびしいばかりの余韻が心をよぎる句だ。
蕎麦の花はやせた土地に育つという。いまでこそ蕎麦は日本全国愛好されるが、かつては農民のつつましい食物源だった。やせた土地に可憐な白い花が美しいばかりに様子を一茶が見事に詠んだ。
そばの花はこんなに可憐で美しい。我が家の近くの畑に咲いているところを撮影。(2010年10月撮影)
こんな赤い花もまじっている。
明日あたり蕎麦を食べに行こう。