飛翔

日々の随想です

蕎麦とブラックスワンと

 酷暑が嘘だったかのように、寒い朝となった。夏蒲団から冬の毛布にかえなければならないほど寒い。布団を無意識に、はいで寝ていたのに、今朝は毛布を無意識に手で、足で、探している。
 季節は突然人間に移ろいを感じさせる。
 昨日は台風一過、久しぶりの晴天で庭は洗濯物と、布団を干すので満艦飾となった。洗濯機を何回まわしたことだろう。
 原稿書きがやっと終わり、夫がおいしい蕎麦をご馳走してくれるというので、隠れた名店「樹庵」へ出かけた。↓

「樹庵」
 この店はひょんなことでみつけた店だったが、驚くほどおいしいそばを出す。辺鄙なところにあるのだが、知る人ぞ知る名店のようで、遠くから食べに来る人がいる店だった。この店は藤沢周平も愛す名酒「九平次」を所有していたのにはこれまた驚いた。
 以来、この店には頻繁に訪れることとなった。店には名物おばあちゃんが仕切っていて、きりっと美しいたたずまいの中、客と店の中を実にうまく取り仕切っている様子は昔の大店(おおだな)の「おかみ」を思わせる。レジなど置かず、そろばんをはじく様子も嬉しい。ソバ屋はやはり「そろばん」がよく似合う。
 かんじんのそばも、名人技。天ぷらがまたおいしい。生きた海老を揚げてくれる。海老もきちんと背わたを始末してあって、きのこ類も香り豊かなものをだしてくれる。おばあちゃんの目配り、気配りが店を活気あるものにするのと同時にぴしりと空気をしめてくれる。今時珍しい店だ。やたらにせわしげで、従業員のうわずった声が耳ざわりな店とは違う雰囲気をかもしている。
と、ここまではおばあちゃんがお元気なころの店の様子だ。現在は、おばあちゃんおかみは病を得て療養中。お嫁さんが取り仕切っているが、おばあちゃんの薫陶よろしく、立派に取り仕切っている。
 黒々とした二八蕎麦が冷水でしめてあって腰があり美味。天ぷらもよし。最後の蕎麦湯もとろっとしておいしい。
 満足して帰宅した。
 帰宅してDVD「ブラックスワン」を鑑賞。

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リエーター情報なし
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
 アカデミー賞を総なめにした映画。バレエ「白鳥の湖」の黒鳥と白鳥を同時に演じ切れる主役探しのバレエ団に所属する女性の心理劇。
 物語:
 ニューヨークのバレエ団に所属するニナ(ポートマン)は、元バレリーナの母とともに、その人生のすべてをダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが巡ってくるが、新人ダンサーのリリー(クニス)が現れ、ニナのライバルとなる。役を争いながらも友情を育む2人だったが、やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく。監督は「レスラー」のダーレン・アロノフスキー。主演のポートマンが第83回米アカデミー賞で主演女優賞を獲得した。
 キャスト・スタッフ
キャスト:
ナタリー・ポートマン、バンサン・カッセル、ミラ・クニスバーバラ・ハーシーウィノナ・ライダー

 監督:
 ダーレン・アロノフスキー
製作:
 マイク・メダボイ、アーノルド・W・メッサー、ブライアン・オリバー、スコット・フランクリン
原案:

 アンドレス・ハインツ
脚本:
マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクローリン
撮影:
マシュー・リバティーク
美術:
テレーズ・デプレス
音楽:
クリント・マンセル

  黒鳥役を抜擢されたニナを取り巻く女たちにはライバルのリリー、過保護で過干渉の母親エリカ、元プリマのベス。
厳しい母のもとで育ったニナは清純で美しい白鳥は踊れても、嫉妬心と妖艶美に満ちた黒鳥を踊れない。その心の葛藤と、ライバルの存在。やがて自分の姿にもつながるだろうかと恐れる元プリマの老残ぶりに心を次第に蝕まれる。
 バレエが舞台ではあるが、鬼気迫る心理劇である。脚光を浴びる世界の光と闇。
 うっとり感動というわけにはいかない、サイコパスなドラマでした。