飛翔

日々の随想です

友を選ばば書を読みて

友達と云うのは本当にいいものだ。
不実で有言不実行の人もいるなか、ここぞというとき、すっくと立ち上がり、援護射撃してくれる強い味方。それこそが友だちである。ベクトルが同じ仲間は楽しい。愉快である。
憂き世のしがらみなんぞにしばられず、誠の言葉だけをたよりに語り明かす。これこそ楽しい愉快な友である。
与謝野鉄幹にはこんな素晴らしい作品がある。
人を恋ふる歌
作詞:与謝野鉄幹
作曲:不詳

1 妻をめとらば 才たけて
  みめ美わしく 情けある
  友を選ばば 書を読みて
  六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱

2 恋の命を たずぬれば
  名を惜しむかな 男子(おのこ)ゆえ
  友の情けを たずぬれば
  義のあるところ 火をも踏む

3 汲めや美酒(うまざけ) うたひめに
  乙女の知らぬ 意気地(いきじ)あり
  簿記の筆とる 若者に
  まことの男 君を見る

4 ああわれダンテの 奇才なく
  バイロン、ハイネの 熱なきも
  石を抱( いだ)きて 野にうたう
  芭蕉のさびを よろこばず

いつ読んでも歌ってもここちよい言葉の響きに酔ってしまう。
一番にある友を選ばば 書を読みて
  六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱

まさに友をえらぶならばかくのようでありたい。
打てば響くように文学の話が弾むならば言うことがない。
文学に明るくなくとも「六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱」とあるようにまた「友の情けをたずぬれば義のあるところ 火をも踏む」のごとく
困っているときは何はさておいても駆けつけるような友であって、強気をくじき弱きを助けるような義侠心に富んでいるならばなおさら素晴らしい。

大いに気持ちが高まってまた明日へと進んでゆけそうだ。