飛翔

日々の随想です

涼しさや袂(たもと)にあまる貝のから

・涼しさや袂(たもと)にあまる貝のから(一琴)
(『古句を観る』柴田宵曲著(岩波文庫)より)

夏休みを海や山へでかけて満喫した人がおおいことだろう。
上の句は元禄時代の無名の作家の俳句を集め、評釈した滋味あふれる書の中からの一句だ。

海へ行ったお土産に拾った貝殻を袂に入れ帰るときの歌だろう。
袂に入れた数個の貝殻が擦れ合って音が鳴る。なんと涼しげだなあと詠ったものだろう。

そろそろ夏休みの宿題をやり終えてしまわないといけない時期が来た。
楽しい思い出に採集した昆虫や貝殻の標本作りをする子どもたちも多いことだろう。
お盆が過ぎるとあっというまに夏は行ってしまう。
この照りつける夏の日の様々なことを覚えておこう。
この子ども時代を、青春を、朱夏を・・・。
やがて秋が来て冬が来るように、人生も朱夏が過ぎれば玄冬がせまるのだから・・・・。