飛翔

日々の随想です

思ふ人天降(あまくだ)り来(こ)むものならなくに


今日はひどく寒い一日だった。
 ふわりと頬に舞うものがあった。
 見上げるとひとひらの雪だった。 
遠き空の彼方に、待ち人を想う。
 
  昔の人は通い婚だったので、天気の良い日や,うららかな日などは恋しい人を想って今来るか、今来るかと胸をときめかせていたのかもしれない。
 こんな歌を詠んだ人がいる。

つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天降(あまくだ)り来(こ)むものならなくに
和泉式部)(『玉葉和歌集』)
(もの憂げに空をみやってしまう。想い人が空から降って来るわけでもないのに・・・)

 和泉式部が物思いに沈みながら空をみあげるようすが目に浮かぶ。
 なんともけだるい春の日だったのだろうか?