エリック・バーンが創始した交流分析はその後1970年頃、グールディング夫妻によって、交流分析理論にゲシュタルト療法の手法を加えて再決断療法という新しい効果的な心理療法を生み出した。
再決断療法の考え方は:
人は幼いとき両親や保護者とのやりとりから体験した「禁止令」(〜するな)や「許可」(〜してよい)というメッセージを受け取っています。個人はその内容をもとに、「自分はこういう存在だ。自分の人生はこんなふうに生きていこう」という決断(幼児決断)をすると考えられます。この幼児決断がその後の人生脚本の筋書きを決める元となるのです。
その幼児決断の人生脚本でがんじがらめになった束縛から抜け出して、C(チャイルド)の自我状態に戻って再度決断をやり直して、人生脚本をかきかえていくという精神療法が「再決断療法」なのです。
例えば:「禁止令」
●「成長するな」 末っ子で、過保護に育った中で、「成長するな」という金禁止令を受け取った 幼児決断の場合。
「幼児決断」=「僕は自分では何一つ満足にできない。僕は無力なままでいよう」
その結果の支障は=大人になっても依存的で自律的になれない。
●「子供であるな」 小さな頃から甘えることが許されず、兄弟の一番上の者として厳しく育てら れてきたことにより「子供であるな」という禁止令を受け取った。
「幼児決断」=早く成長して大人になろう。子供っぽい、馬鹿げたことはもうしない。
その結果の支障は=ハメを外したりすることができにくく、しっかりしすぎて、人に甘えること が苦手な人となる。
親になっても、子供とどのようにして遊ぶのかとまどいがちになる。
●「親しくするな(近づくな)」 幼い頃、両親が離婚したために、小学校まで祖父母や親戚をた らいまわしにされることで、「近づくな、親しくするな」という「禁止 令」を受け取った。
「幼児決断」=結局私は一人ぽっちだ。愛情なんて決して長続きしないものだから、求めても無 駄なんだ。
その結果の支障=他人と友好的につきあえない。孤独で愛する事に懐疑的になり臆病になる。
●「考えるな」「お前が考えるように考えるな、私が考えるように考えろ」
「それについて(例:性的、お金、勉強、仕事、遊びなど限定)考えるな」等
なんでも親がしてしまい、考えることをやめてしまう。
「自分はまだ子供で、周りが全て考えてくれる」と思い込む、子供が考えることを
いつも侮る親によって、与えられることが多い。対人恐怖の人に多い
人が怖くなる。母の考えを自分の考えと思い込む。
※再決断療法は、このような幼児に行った決断が、その後の生活に破壊的な影響を与えたり、幸せな人生を送るのを妨げる行動様式をもたらしていると考えられる場合には、その決断をした当時の子どもの自我状態(思考・身体感覚・感情を)ゲシュタルト療法の技術を用いて再体験しつつ、その決断より望ましいものにやり直す(再決断する)ことによって、今と、これからの生活を変化させていこうとするものです。