飛翔

日々の随想です

愛知県重要無形民俗文化財指定「亀崎潮干祭り」

長靴のような形の知多半島は愛知県にあります。
 長靴のふくろはぎあたりに位置する半田市亀崎にやってきました。
 5月3日4日は、亀崎潮干祭りがある日。亀崎潮干祭りは重要無形民俗文化財として国から指定された珍しい祭りです。
 「潮干祭」は神前神社の祭礼で、その昔、祭神である神武天皇東征の折、海からこの地に上陸したとの伝説にちなみ、5輌の山車を潮干の浜へ曳き下ろしたことからこの名がつけられました。 潮の干いた浜に並ぶ5輌の山車は勇壮・華麗で、まるで浜に華が咲いたようです。
 

 勇壮なのはこの山車を海に引き入れるところが見どころ。若者が山車を海に一気に引き入れているところ。

風が強く、山車の上の旗が引きちぎれそうになびいている。

海に引き入れられた5台の山車はまた浜に引き戻されます。砂にめり込む山車のわだちに若者が力の限りに引っ張る姿は見ている方も力が入り、「頑張って、もう少し」と声をだして応援してしまうほど。
 そろいの法被(はっぴ)と肩に食い込む紫紺のひもが若者の白い肌を一瞬にして赤くそめるように食い込む。
 老いも若きも、この祭りのために力を合わせて山車を引く姿は地域に根付いた「祭り」の意味を思い起こさせる。
 数か月も前から土地の者は祭りの下準備に走り回り、集まり酒を酌み交わし、祭りへと心を結集して一つの大きな力となっていく。それは親から子へと受け継がれる伝統であり、土地がもつ土着性、民族カラーの象徴として熟成していくようだ。

 人たちは思い思いに正装し、ご馳走を作り、祭りに集まった人達にふるまって祝うのだ。
 「祭り」がある限り、人は集い力を合わせ、助け合い、伝統を受け継ぎ、地域の発展と祖先への畏敬の念を抱くのである。
 勇壮な祭りに気持ちが高ぶって爽快になった。