飛翔

日々の随想です

黒岩比佐子さんから得る人間力

 文字から得るものは大きい。しかし、書いた作者にじかに会って、そこから得るものは文字以上のものを得ると実感した。黒岩比佐子さんの『パンとペン』上梓を祝した講演会で感じたものは今、じわじわ、ひたひたと私の中で大きく広がってきている。勿論作品を作家自身の口から語られるのは読むのとは違う角度でまっすぐに伝わるが、ちょうど読みながら行間からただようものを味わうように、表情から、ご自身からにじみ出る人間性、ひたむきさ、静かな中にたたえられた深い湖のような思考と情熱。それらがまっすぐに伝わってくる。それは静かな迫力である。人間力と言ってもいいかもしれない。講演が終了して直接言葉を交わす機会に恵まれたとき、手をしっかりと握ってくださった。その手の力強さと温み。しっかりと相手の目を見てお話になるその包み込むような大きさを忘れることが出来ない。
 どの作品も最低二回は読み返したが、今またじっくりと三回目を読み返している。膨大な資料の山に埋もれながら日夜ペンを走らせている黒岩さんの姿が目に見えるようで三回目も楽しみながら読み進んでいる。
 黒岩さん、こんな風に何回もしつこく読んでいる読者もいるんですよ!