飛翔

日々の随想です

『くじけないで』99歳の詩集

ノー天気に見える私でも、人並みの苦労や悩みを抱えて生きてきた。誰にも相談できず苦しい日々の時、台所のドアに「青春」という詩をカレンダーの裏に大きく書いて貼っておいたことがあった。台所に立つたびにそれを読み、自分を励ましてきた。人には苦しくてどうしようもないときがある。そんなとき、たった一言が支えとなってつえとなってくれる。今日は九十歳を越えたとき、詩を書くようになったという現在99歳の柴田トヨさんの詩集を紹介しようと思う。

くじけないで
柴田 トヨ
飛鳥新社

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 柴田トヨさんは、1911年(明治44年)栃木県生まれ。裕福な穀物商の一人娘だったが、十代の時家が傾き料理屋に奉公に出された。三十三歳のとき結婚。健一を授かる。1922年に夫と死別。現在一人暮らし。
   あなたに
出来ないからって
いじけていてはダメ
私だって 九十六年間
出来なかったことは
山ほどある
父母への孝行
子供の教育
数々の習いごと
でも努力はしたのよ
精いっぱい
ねえ それが
大事じゃないかしら

さあ 立ち上がって
何かをつかむのよ
悔いを
遺さないために

   朝はくる
一人で生きていく
と 決めた時から
強い女性になったの
でも 大勢の人が
手をさしのべてくれた
素直に甘えることも
勇気だと わかったわ
(私は不幸せ・・・)
ため息をついている貴方
朝はかならず
やってくる

朝陽も
射してくるはずよ

※人知れず歯を食いしばって耐えてがんばっているあなた、100歳になろうとしている柴田トヨさんの言葉に勇気と励ましをもらってください。