飛翔

日々の随想です

無常迅速



朝から蝉がやかましく鳴いていると思ったら、ついに「梅雨明け」になった。
 長い雨が続いたからこれでかっと暑い夏の本番だ。せみ時雨の時期到来だ。芭蕉の句に「無常迅速」という前書きつきで次のような句がある。
   やがて死ぬけしきも見えず蝉の声
「無常迅速」とは人の世の移り変りは常にはかなく変転してやまない。時は移りゆき、形あるものは必ず滅する。一切が無常。こんな前書きをつけたこの句は近江の幻住庵にいたときの作。 秋の来るのも待たずして死ぬ蝉がそんなけぶりは少しもみえないで、死も生もすべてを天に任せきって夏の日差しの中で鳴いているのを見ると、そぞろに物のあわれを感じるということだろうか。
普遍的な命と、その儚さの極みを感じる。まさに「無常迅速」。
グスタフ・マーラー Gustav Mahlerの五番の第四楽章が耳に響いてやまない