飛翔

日々の随想です

森田りえ子展を観て

 今日は朝から良く晴れたが、ひどく寒い土曜日であった。
 午後から京都画壇において最も注目を集めている女流画家「森田りえ子」の「東方彩夢 森田りえ子展」を観に行った。森田りえ子は昨年の春、パリにて開催した展覧会で人気を博した画家である。また世界遺産金閣鹿苑寺方丈(本堂)が330年ぶりに解体修理されるのにあわせて納められた杉戸絵「春夏秋冬」を描いた画家としても注目されている。
 まだ若く美貌の女流画家に金閣寺の杉戸絵を描くことを任されたということにいささか驚きをもった。この画家が杉の戸に描いた絵がこれから半永久的に金閣寺に残るということが注目される。どんな絵かとはやる心を抑えて見に行った。
会場は名古屋三越。会場はあふれる人でいっぱい。
 花の「りえ子」と呼ばれるだけあって花鳥画が絢爛豪華。
 京都丸山派の流れをくむ日本画を描く森田の日本画は従来の日本画のイメージを超えるものであった。現代風のタッチの少女像や都会の夜の風景が写真のようにワイドに広がる中、左端に端然と座る女性を描いたりと現代アートを思わせる。そうかと思うと舞妓が松の絵を背景に両手で振袖を広げている「粧?」は大胆で美しく日本画によく登場する舞妓の黒地の着物に伝統の着物の図柄を散らした着物があでやか。
 藤の古木が花をつけた「四曲・双屏風・左隻」(箱根・芦ノ湖成川美術館蔵」の屏風絵は美しかった。
 総じて日本画の画風を持ちながら絢爛で華やかな色調が新しい。伝統を汲みながらも森田独自の豪奢で華やかな雰囲気がまぶしいばかりだった。
「竜宮」と題された絵はおいらんが二つの広げられた傘の間に後ろ向きに立っていて、見返る絵が印象的だった。右手に扇をかざしながら黒の内掛けに波が打ち砕けた図柄にきせるをふかした二枚目を背中に背負うような内掛けを広げて見せている。どこかでこれと同じ図柄をみたことがあるなあとふと思った。

 日本画も変わったのか?時代が変わったのか?金閣寺の杉戸に描かれた森田の絵が絢爛豪華に未来永劫、そこに飾られ人々の目に愛でられることとなる。