本好きの人の文を読むと私はしじみになる。いや、ちがった。しみじみしてくる。自分の読みの姿勢を正される。
そして考え方まで正される。つまらないことにかかずらわっている暇はないとおもうようになる。目の前に無窮の世界が広がっていることに気がつく。いい友を持ったと嬉しくなる。そして今日は研究会でまた別のよい文章に出会って自分の思考の浅さを思い知らされて発奮。いい刺激になった。いい人、いい文、いい音楽に出会った日は一日心が潤ってしみじみする。
じっくりどっしり構えて生きていくことにしようか。
読書もしかり。熟読玩味、遅読に味読である。
そうそう。友といえば歌人、与謝野鉄幹に「人を恋ふる歌」という作品がある。
人を恋ふる歌
作詞:与謝野鉄幹
作曲:不詳
1 妻をめとらば 才たけて
みめ美わしく 情けある
友を選ばば 書を読みて
六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱
2 恋の命を たずぬれば
名を惜しむかな 男子(おのこ)ゆえ
友の情けを たずぬれば
義のあるところ 火をも踏む
いつ読んでも歌ってもここちよい言葉の響きに酔ってしまう。
一番にある友を選ばば 書を読みて
六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱
まさに友をえらぶならばかくのようでありたい。
打てば響くように文学の話が弾むならば言うことがない。
文学に明るくなくとも「六分(りくぶ)の侠気(きょうき) 四分(しぶ)の熱」とあるようにまた「友の情けをたずぬれば義のあるところ 火をも踏む」のごとく
困っているときは何はさておいても駆けつけるような友であって、強気をくじき弱きを助けるような義侠心に富んでいるならばなおさら素晴らしい。
朋あり、遠方にありて書を慈しむ。われの師であり友であり、打てば響く太鼓の音色である。これまた善き事かな。