去年の今頃、古書店で超レアものの本を手に入れた。
『支那童話集』 佐藤春夫著 日本児童文庫
装丁・恩地孝四郎 口絵挿絵・島田訥朗
※「賜天覧、台覧」と最初の頁に印刷されていて、天皇陛下や皇后陛下にご覧頂きましたという事で非売品と奥付けにはありました。
超レアものでしょうか。
古本屋でみつけたレアものです。なにしろ皇室関係者に(天皇、皇后陛下?)に献上した貴重品。
本書は中国の昔の本『東周列国志』『聊斎志異』『今古奇観』『太平廣記』から材料をとったもので、
著者である佐藤春夫の「はしがき」によれば、
「別に童話といふのではありませんが、少年少女たちが読んでよかろうと思ふものを集めてみたのです」とある。
全部で十六篇の物語となっており、初めてよむのにどこか懐かしく、胸がときめくような面白さと美しさに満ちた物語たちである。
「美しい絹を織る妻」は「夕鶴」のお話にも似ているけれど、夕鶴のような悲しさがなく、天女が親孝行の主人公のために目も妖な絹を織って報いるという終焉が詩をよむようで佐藤春夫の訳がきらめく。
十六篇の中でも長いお話「百花村物語」は口絵挿絵にもなっていて、島田訥朗の絵が夢の中を遊ぶよう。