飛翔

日々の随想です

2011-10-17から1日間の記事一覧

男を男の中の男にする法

父親は三代続いた生粋の浅草育ちの江戸っ子である。貧乏人の次男坊である。「宵越しの銭はもたねえ」とばかりにきっぷがよく短気であった。 下町育ちの父に反して、母は山の手育ち。祖先の中には歴史の教科書に載っている者もいる。この異端のカップルが一緒…

妻の右舷

夫は毎日お弁当を持っていっている。朝お弁当をつめていると夫が「お昼は独りでパンを食べているんだろうなあ?珈琲をおいしく淹れてさ」と言い出した。 「え?私のお昼ご飯のことを心配してどうしたの?」と尋ねると、「ふと、昼間、どんな顔をして食べてい…

「お茶」が教えてくれた15のしあわせ

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)森下 典子新潮社蔵書として手元にいつでも読みたい本というものがある。 赤ペンで印をつけたり、ページを折ったり、風呂の中で読んだりと・・すさまじい読み方に耐えてきた風雪まみれの本には愛着…

「ありがとう」

「ありがとう」の心は美しく、なによりも報われる言葉だ。 母は家事を決して手を抜くことはなかった。特に食事は手間隙かけていた。叔父が訪ねてくるときは、二三日前から叔父の好きな「身欠きにしんの甘露煮」を作るために準備していた。三日前にすることは…