ここのところ毎日本を読み続けている。書評はあとでゆっくり書きたい。 熟読玩味の時間がながいゆえ、安易に書評をかけないでいる。
作家開高健が入院していたとき、無二の親友であった谷沢永一と向井敏を入院先に決して合わせなかった開高健の妻。作家の妻というものの業というか意地のようなものを、安部公房夫人と開高健の妻、双方に重なって感じてしまった。
また養女という立場で森敦の生活を書いた『森敦との時間』は妻とは立場が違うが、近親者の体温の濃密さを思った。
しかし、同じ芥川賞でも森敦、開高健が受賞した芥川賞と昨今の芥川賞の軽重の差は一体なんなんだ!
森敦の受賞作『月山』は十年でも百年でも読み継がれ、読みつぐ重さがあるが、昨今の受賞作のそれとは比較したくもないほどである。
時代が芥川賞の質を変えたのか、読者の層が変えたのか、それとも選者がかえたものなのか?