飛翔

日々の随想です

芥川賞の質の変遷

ここのところ毎日本を読み続けている。書評はあとでゆっくり書きたい。 熟読玩味の時間がながいゆえ、安易に書評をかけないでいる。

月山

月山

森敦との時間

森敦との時間

安部公房とわたし

安部公房とわたし

安部公房伝

安部公房伝

ホテルローヤル

ホテルローヤル

特に印象的なのは『安部公房とわたし』女優 山口果林安部公房との生活を明かした、いわば暴露本がそれである。一方『安部公房伝』は阿部公房の一人娘 安倍ねりが書いたもの。安部公房亡き後20年がたった今、愛人であった山口果林がはじめてその日々を明かしたところが耳目を集めている。私も好奇心で読んでしまった。感想はまた後で書くとしよう。

 作家開高健が入院していたとき、無二の親友であった谷沢永一向井敏を入院先に決して合わせなかった開高健の妻。作家の妻というものの業というか意地のようなものを、安部公房夫人と開高健の妻、双方に重なって感じてしまった。
 また養女という立場で森敦の生活を書いた『森敦との時間』は妻とは立場が違うが、近親者の体温の濃密さを思った。
 しかし、同じ芥川賞でも森敦、開高健が受賞した芥川賞と昨今の芥川賞の軽重の差は一体なんなんだ!
 森敦の受賞作『月山』は十年でも百年でも読み継がれ、読みつぐ重さがあるが、昨今の受賞作のそれとは比較したくもないほどである。
 時代が芥川賞の質を変えたのか、読者の層が変えたのか、それとも選者がかえたものなのか?