飛翔

日々の随想です

The English Suites

English Suites
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Hyperion UK

今朝のおめざはこの曲です。バッハの「イギリス組曲」。
 ANGELA HEWITITのピアノが心を清き流れにいざなってくれます。
 イギリス組曲ヨハン・ゼバスティアン・バッハ鍵盤楽器のための組曲集。名称の由来は確実ではないけれど、伝記作家のヨハン・ニコラウス・フォルケルにより作曲者が「あるイギリスの貴人のために作曲した」とされていることからだとか。
 春の陽の甘やかな朝に、 ANGELAのこの一曲が美しい一日を約束してくれるようでイングリッシュ・ブレックファーストの紅茶と共に目覚める朝は甘露。輸入盤なので手に入れるまでのわくわく感がたまらない。そして封をきって聴くときのときめき。流れるバッハの穏やかで静謐な音色は海を越えてやってきたこの名盤をより一層愛おしいものにする。

ANGELAと聞くと、英国に留学していた時の一の親友ANGELAを思い出す。アルジェリア生まれで漆黒の髪、陶器のような白い肌、黒曜石のような瞳が美しい学内一の美女だ。どこへ行くのも一緒だった私たち。学校で一番恐れられていたオールドミスの先生にあだ名をつけたのもANGELAだった。授業中いたずらを見つかったANGELAは臆することなく
「窓の外に煙が見えたので火事かなと思って「ろこ」に教えてあげたのです」
 と嘘をついたので「火事!」と大騒ぎになった。二人はいつも騒ぎの中心人物になって静かな英国生活を愉快なものにした。
 懐かしいANGELA。卒業する時、古本屋で発禁本の性の奥義の本を見つけて故郷のボーイフレンドへの土産にしたANGELA
 面白く可愛く、素敵なANGELAを私は本当に大好きだった。
 この「イギリス組曲」を聴くとそんなANGELAと英国の田園風景を思い出し、鼻の奥がツーンとする。

※ CDジャケットの絵はドイツ・ロマン主義の代表的な画家であるカスパー・ダーヴィト・フリードリヒの出身地である、グライフスヴァルト (Greifswald)近郊の牧草地。描いたのはその本人カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ。名画である。