飛翔

日々の随想です

ピンクの封筒


いろいろなものを片付けていたら、ピンクの封筒がでてきた。昔、塾で教師をしていたときの生徒からのものだった。
卒業するとき、いままでの授業の感想や私へのメッセージを生徒一人一人に書いてもらうことにしていた。
「先生の授業はとっても面白かったし、英語もできるようになった。学校より塾のほうが楽しくて・・・」
などが書き連ねてあって、その中で
「先生がとても怖いとおもったことがあった」
とあった。それは英詩の読解のときのことだった。
その生徒は成績もよく、積極的な女の子だったけれど、その日、英詩の解説をしているとき、その子がその英詩をおちゃらけて訳して授業をだいなしにしてくれた。
普段怒らない私はひどく怒った。激怒に近かったと思う。
その生徒の手紙ではとても怖かったとあった。授業を台無しにしてやめさせられるかと思ったけど許してくれたので嬉しかったとある。
 その次に「先生って純なんだなあと思った」と書いてあって私はびっくりした。
 子どもだと思っていた生徒が大人の私を「純なんだなあ」などと思うまなざしに驚いた。
 もう記憶の彼方のことなのであまりおぼえていないけれど、私はその英詩の清らかさに打たれて、それを生徒も感じてくれたならいいと思って、熱をいれていたような記憶がある。
 それを「純」だと思ったのか、大真面目で怒ることを「純」な人だと思ったのか・・・?
 もう卒業後にもらった手紙なので本意を正すわけにもいかない。

生徒というものは教師をよく観察しているものだ。