飛翔

日々の随想です

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

魚の目に涙あり

沈黙の流木よ。 流れ下るはいずこの岸か? せせらぎに泳ぐ魚の影ひとつ ひれをかすめる木片に 鱗とられて血をながす 魚の目に涙あり

『続 天声人語』

深代惇郎の天声人語〈続〉 (1977年)作者: 深代惇郎出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1977/05メディア: ?購入: 4人 クリック: 16回この商品を含むブログ (1件) を見る凝縮した言葉を紡ぐことは難しい。短歌や俳句などの短詩形でなく散文としての短い文のこ…

春夏秋冬 料理王国

料理王国―春夏秋冬 (中公文庫)作者: 北大路魯山人出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/01/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (9件) を見るノンフィクション・ライターの黒岩比佐子さんは古書が好きでご自身のブログ「古…

長安の春

長安の春 (東洋文庫 (91))作者: 石田幹之助出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1967/05/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る わが国の中国文学に多大な貢献をしてきた石田幹之助博士の名著『増訂 長安の春』石田幹之助(東洋文…

梅の花

立春であるが寒い。これを立春寒波と言うらしい。北日本は軒並み雪。 東海地方も小雪が舞った。梅の花がほころび始めたが雪では可哀想。せめてかぐわしい歌でも献じよう。 梅の花を折りて人におくりける ・君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞし…

春の小川の蜃気楼

親の資金で高価なスポーツカーを乗り回しているボーイフレンドの中にあって、一人、奨学金を貰いながら夢に向かって進もうとする青年に出会った。夏の暑いさかり、冬ざれの日、どちらもただ街中を歩くだけのデートが重なった。「暑いときは暑さを、寒いとき…

紅梅の影とがりて黒し

美術館で「和漢朗詠集」の本物を見たことがある。冷泉家の当主の水茎も鮮やかな文字は一幅の絵のような美しさだった。そこにはこうあった: 池のこおりの東風(とんとう)は風渡って解く窓の梅の北面は 雪封(ほう)じて寒し ( 藤原 篤茂 )(立春の日)東風…

酔い宵好い本

作家の酒 (コロナ・ブックス)平凡社Amazon 作家たちの料理のうんちく本や酒についてのエッセイは読んでも楽しいが、この『作家の酒』は作家の愛した酒や飲み屋、自宅での写真が満載で、どんな肴でどんな人たちと飲んでいたか、どんな風な酒だったかが一目で…